家族療法

家族療法とは
(かぞくりょうほう)


 

家族療法(Family Therapy)とは、個人だけでなく「家族全体」をひとつのシステム(構成要素のまとまり)として捉え、問題の背景や関係性に注目して、改善を目指す心理療法です

 

システムズ・アプローチという考え方を基盤にして、家族を個々の成員が互いに影響を与えあうひとつのシステムとして考えていきます

 

問題を抱えた人を、従来の相談者さま(クライエント)という呼び方ではなく、家族を代表して問題を表現している人という意味で、IP (Identified Patient;患者と見なされた人)と呼んで、問題と向き合っていきます

 

 

⚫︎基本的な考え方

家族療法は、心理療法の一分野で、次のように考えます

 

・問題は「個人の中」だけで起きているのではなく
家族間のコミュニケーションや関係性の中で生じている

 

・家族の関わり方が変わると
個人の症状や悩みも変化する可能性がある

 


 

⚫︎どんなときに使われる?

家族療法は幅広い問題に使われます

 

・子どもの不登校・問題行動

・夫婦関係の不和

・親子関係の葛藤

・うつや不安などの精神的問題(家族の影響が大きい場合)

 


 

⚫︎主な特徴

1,家族全員(または複数人)で面接

1人だけでなく、親・子・パートナーなどが一緒に参加することが多いです

 

2,コミュニケーションの改善などを見直します

・言い方

・受け取り方

・役割分担

 

3,「原因探し」より「関係の変化」

過去を深く掘り下げるよりも、「関係の変化」に重点を置きます

・今どう関わっているか

・どう変えられるか

 


 

⚫︎アプローチの仕方

いくつかの流派がありますが、主なアプローチ方法

 

・構造的家族療法
→ 家族の「役割」や「境界」を整える

 

・戦略的家族療法
→ 問題を維持している行動パターンを変える

 

・ナラティブ療法
→ 問題と人を切り離し、新しい意味づけを作る

 


 

⚫︎わかりやすいイメージ

例えば・・・

・子どもが問題行動を起こしている→ 実は「夫婦の関係の緊張」を表していることがあります

 

この場合、子どもだけを治療するのではなく、家族全体の関係を調整するというのが家族療法の考え方です

 


 

⚫︎まとめ

家族療法とは

 

・個人ではなく「関係」に注目する

・家族全体をひとつのチームとして扱う

関わり方を変えることで問題改善を目指す

 

 


 

さらに詳しく↓

 

カウンセリングとの違い

まず、「一般的なカウンセリング」と家族療法の違いをシンプルに比較します

 

 

⚫︎一般的なカウンセリング

【個人カウンセリング】

・対象:本人ひとり

・注目する点:気持ち・考え・過去の経験

・目的:本人の理解・回復・成長

イメージ・・・「なぜ自分はつらいのか」を一緒に考える

 

 

⚫︎家族療法

【ファミリー全体を見る】

・対象:家族(複数人)

・注目する点:関係性・やり取り・役割

・目的:関係のパターンを変える

イメージ・・・「家族の関わり方がどう影響しているか」を見る

 

 

⚫︎違いをわかりやすく表現すると

・カウンセリング → 心の中”を見る

・家族療法 → 人と人の間”を見る

 

 

⚫︎さらに違いをまとめると

・カウンセリング→ 自分の内面を深く理解する

・家族療法→ 関係のパターンを変えて問題を解決する

 

 

【分かりやすく表にすると】

項目 一般的なカウンセリング 家族療法
対象 本人ひとり 家族(複数人)
注目する点 気持ち・考え・過去の経験 関係性・やり取り・役割
目的 本人の理解・回復・成長 関係のパターンを変える
イメージ 「なぜ自分はつらいのか」を一緒に考える 「家族の関わり方がどう影響しているか」を見る
違い “心の中”を見る  “人と人の間”を見る
違いまとめ 自分の内面を深く理解する 関係のパターンを変えて問題を解決する

 


 

⚫︎実際の進め方(セッションの流れ)

【ケース例】・・・中学生の子どもが不登校になっている家庭

 

⚫︎STEP 1:導入・状況の共有

家族みんなで参加(例:母・父・子)

 

カウンセラー・セラピストはこんな質問をします

・「いつ頃から学校に行きづらくなりましたか?」

・「家ではどんな様子ですか?」

・「ご家族それぞれどう感じていますか?」

 

【ポイント】

・誰かを責めない

・全員の視点を聴く

 


 

⚫︎STEP 2:関係性のパターンを探る

会話や、やり取りを観察します。

 

例えば・・・

・母:心配して過干渉になる

・子:それを嫌がって距離を取る

・父:あまり関わらず黙る

 

セラピストの見立ては・・
「この関係の繰り返しが問題を維持しているかも。。。」
当人たちはこの関係性を無意識でしている

 


 

⚫︎STEP 3:気づきを促す

その場でやり取りをフィードバックします

 

例・・・

・「お母さんが心配で声をかけるほど、子どもさんは距離を取りたくなるようですね」

・「お父さんはどんな気持ちで見ていますか?」

 

【ポイント】

“見えなかった関係”を見える化する

・母の過干渉なところを見える化する

・父のあまり関わらず黙るところを見える化する

 


 

⚫︎STEP 4:関わり方を変える提案

小さな行動の変化を提案します

 

例・・・

・母 → 「声かけを1日1回にしてみる」

・父 → 「子どもと1対1で話す時間を作る」

・子 → 「嫌なことを言葉で伝える練習」

 

【ポイント】

・無理のない小さな変化

 


 

⚫︎STEP 5:次回で振り返り

・「やってみてどうだったか」「何が変わったか」を確認し、必要に応じて調整

 

 

 

⚫︎家族療法の特徴がよく出るポイント

 

・誰か1人を「問題の原因」にしない

・会話の仕方そのものを変える

・小さな変化から全体が変わると考える

 


 

⚫︎イメージ的にまとめると

例えば家族療法はこんな感じです

 

❌「子どもが悪い」ではなく

⭕「家族のやり取りの中で何が起きているか」を見る

 

そして、1人を変えるのではなく “関係の流れ”を変えるのが家族療法の重要な要素です