認知行動療法

認知行動療法とは
(にんちこうどうりょうほう)


 

認知行動療法(CBT)とは、考え方(認知)と「行動」のパターンを見直すことで、感情やストレスを改善していく心理療法です
※(CBT: Cognitive Behavioral Therapy)

 

多くの研究で効果が確認されており、特に次のような問題に広く使われています

  • うつ病
  • 不安障害
  • パニック障害
  • 強迫性障害
  • ストレスや人間関係の悩み

 

 

⚫︎基本の考え方(心の仕組み)

認知行動療法(CBT)では、次の3つが互いに影響すると考えます

出来事 → 考え方 → 感情 → 行動

 

例えば・・・

出来事

考え方

感情

行動

上司に注意された

「自分はダメだ」

落ち込み

人を避ける

 

認知行動療法(CBT)では考え方(認知)を、見直していきます

 

例えば・・・

  • 「自分はダメだ」
    → 「今回はミスしたけど、全部がダメなわけではない」

 

すると

  • 感情:落ち込みが軽くなる
  • 行動:次の改善を考える

という変化が起こりやすくなります

 


 

⚫︎認知行動療法(CBT)で行う主な方法

 

1. 認知再構成(考え方の修正)

自動的に浮かぶネガティブな考えを見つけ、より現実的な考えに変える

例えば・・・

  • 「失敗した → もう終わりだ」
  • →「失敗はしたが、次に活かせる」

 

2. 行動実験

実際に行動して、考えが本当か検証する

例えば・・・

「人前で話すと絶対笑われる」
→ 実際に話してみる
→ 今回は笑われなかった
→ 意外と問題なかった

 

3. 行動活性化

落ち込んで行動が減っているときに、少しずつ活動を増やす

例えば・・・

  • 散歩
  • 趣味
  • 人と会う

 


 

⚫︎認知行動療法(CBT)の特徴

メリット

  • 科学的根拠が多い
  • 具体的で実践的
  • 比較的短期間(数週間〜数ヶ月)

特徴

  • 宿題(ワーク)が出ることが多い
  • 自分で考え方を観察する練習をする

 

 

 


 

さらに詳しく↓

 

認知行動療法(CBT)は自分でも練習できる心理トレーニングです。ここではできるだけわかりやすく、3つのテーマを順番に説明します

 

1️⃣ 自分でできる認知行動療法(CBT)のやり方

2️⃣ 有名な「思考の歪み」10種類

3️⃣ うつ状態への認知行動療法(CBT)の具体例

 


 

1️⃣ 自分でできる認知行動療法(CBT)の基本のやり方

認知行動療法(CBT)の基本は「考え方を観察 → 別の見方を考える」です

一番有名なのが コラム法(思考記録表) です

 

【5ステップ】

出来事を書く

まず事実だけを書きます

例えば・・・

  • 上司に仕事のミスを指摘された

 

 

感情を書く

その時の感情と強さ

例えば・・・

  • 落ち込み 80%
  • 不安 60%

 

 

自動思考(頭に浮かんだ考え)

例えば・・・

  • 自分は無能だ
  • もう信頼されない

この瞬間的に浮かぶ考え
認知行動療法(CBT)では自動思考と呼びます

 

 

別の見方を考える

ここが認知行動療法(CBT)の一番大事な部分です

質問してみます

  • 本当に100%そうなのか?
  • 他の人ならどう考える?
  • 証拠はある?

例えば・・・

  • 誰でもミスはする
  • 他の仕事は評価されている
  • 修正すれば問題ない

 

 

新しい考え

例えば・・・

  • 今回ミスしただけ
  • 次に気をつければいい

すると感情が

  • 落ち込み80% → 40%

くらいに下がることが多いです。これを何回も練習します

 

 

【5ステップ】まとめ

例えば・・・

出来事を書く(事実だけを書きます)
  • 上司に仕事のミスを指摘された
感情を書く
  • 落ち込み 80%
  • 不安 60%
自動思考(頭に浮かんだ考え)
  • 自分は無能だ
  • もう信頼されない
別の見方を考える
  • 本当に100%そうなのか?
  • 他の人ならどう考える?
  • 証拠はある?
  • 誰でもミスはする
  • 他の仕事は評価されている
  • 修正すれば問題ない
新しい考え
  • 今回ミスしただけ
  • 次に気をつければいい

感情的には・・・

  • 落ち込み80% → 40%

 

 


 

2️⃣ 有名な「思考の歪み」10種類

人間の脳は自動的に偏った考えを作ることがあります。これを思考の歪みと言います

 

全か無か思考

白黒思考

例えば・・・

  • 完璧じゃない → 失敗

 

 

過度の一般化

1回の出来事で全部を判断。

例えば・・・

  • 失敗した → 自分はいつもダメ

 

 

心のフィルター

悪い部分だけ見る。

例えば・・・

  • 10人中1人に否定された → 全部ダメ

 

 

良いことを無視

ポジティブを認めない。

例えば・・・

  • 「たまたまだ」

 

 

結論の飛躍

証拠なしで決めつけ。

例えば・・・

  • 嫌われているに違いない

 

 

心の読みすぎ

相手の考えを決めつけ。

例えば・・・

  • あの人は私をバカにしている

 

 

未来予測

悪い未来を決めつける。

例えば・・・

  • 絶対うまくいかない

 

 

拡大・縮小

悪いことを大きく
良いことを小さく

 

 

感情的決めつけ

感情=事実

例えば・・・

  • 不安 → 危険に違いない

 

 

べき・ねば思考

「〜すべき・〜あらねば」

例えば・・・

  • 完璧にやるべき
  • こうであらねば

ほとんどの人が1日何十回もこの思考をしています。認知行動療法(CBT)はそれに気づく訓練です

 

 

⚫︎有名な「思考の歪み」10種類まとめ

項目 特徴
全か無か思考 白黒思考
  • 完璧じゃない → 失敗
過度の一般化 1回の出来事で全部を判断
  • 失敗した → 自分はいつもダメ
心のフィルター 悪い部分だけ見る
  • 10人中1人に否定された → 全部ダメ
良いことを無視 ポジティブを認めない
  • 「たまたまだ」
結論の飛躍 証拠なしで決めつけ
  • 嫌われているに違いない
心の読みすぎ 相手の考えを決めつけ。
  • あの人は私をバカにしている
未来予測 悪い未来を決めつける。
  • 絶対うまくいかない
拡大・縮小 悪いことを大きく
良いことを小さく
 
 感情的決めつけ⑨ 感情=事実
  • 不安 → 危険に違いない
 べき・ねば思考⑩ 「〜すべき・〜あらねば」
  • 完璧にやるべき
  • こうであらねば

 

 


 

3️⃣ うつ状態への認知行動療法(CBT)の具体例

 

うつ状態では次の思考パターンが増えます

  • 自分はダメ
  • 未来は暗い
  • 誰にも必要とされない

※心理学者のアーロン・ベックが提唱した、うつ病の患者によく見られる3つの否定的のパターンのことを「うつの認知三徴(さんちさんちょう)」と言います

 

 

自分(自己に対する否定的な見方・自信をなくす)

自分は価値がない

自分はダメな人間だ

 

世界(否定的・悲観的にとらえる)

世の中は厳しい

世間は冷たい

 

未来(否定的・悲観的に見る)

未来は絶望

この苦しさは一生続く

 


 

⚫︎認知行動療法(CBT)治療例

 

例えば・・・

出来事として、休日に何もしなかった
思考:自分はダメ人間
感情:絶望

 

 

◇認知行動療法(CBT)では自分に質問します

  • 本当にダメ人間?
  • 疲れていただけでは?

 

 

◇新しい考えで、考えてみる

  • 休養も必要
  • 少しずつ動けばいい

 

 

◇さらに行動療法も行います。これを行動活性化と言います

例えば・・・小さい行動を増やす

  • 5分散歩
  • シャワー
  • コンビニに行く
  • 窓を開ける

 

 

◇重要なポイント

行動 → 気分が改善です

 

うつでは

「気分」 →「 行動」ではなく

「行動」 →「 気分」の順番に変えます

 


 

⚫︎まとめ

認知行動療法(CBT)の核心は3つです

 

① 考えを疑う
② 別の見方を作る
③ 小さく行動する

 

これを続けると「不安」「落ち込み」「自己否定が少しずつ減っていきます