虐待

虐待とは


 

虐待(ぎゃくたい)とは、他者に対して意図的に身体的、心理的、性的、または経済的な苦痛や損害を与える行為や態度のことをいいます。

この行為や態度は、家庭内、職場、学校、介護の場など、さまざまな環境で発生する可能性があり、被害者は子ども、大人、高齢者、障害者など多岐にわたります。そして、加害者との関係性(親、配偶者、教師、雇用主など)も多様です。

 

 

虐待の主な種類

⚫︎身体的虐待
・殴る、蹴る、押し倒すなど、身体に直接的な暴力を加える行為。
・身体に傷やあざが残る場合が多い。

⚫︎心理的虐待
・言葉や態度によって精神的苦痛を与える行為。
・例: 侮辱、無視、過剰な支配、脅迫など。

⚫︎性的虐待
・被害者の同意なしに性的な行為を強要すること。
・例: 性的暴行、不適切な触れ合い、性的写真の強要など。

⚫︎経済的虐待
・被害者の財産や金銭を不正に利用したり、管理を奪ったりする行為。
・例: お金を取り上げる、生活費を渡さないなど。

⚫︎ネグレクト(養育放棄)
・子どもや高齢者、障害者など、保護が必要な人に必要なケアを提供しないこと。
・例: 食事を与えない、医療を受けさせないなど。

 


 

虐待が及ぼす影響

⚫︎身体的影響
傷や病気、場合によっては命の危険。

⚫︎心理的影響
PTSD(心的外傷後ストレス障害)、自己肯定感、自己重要感の低下、うつ病、パニック障害など、眼には見えない心の傷

⚫︎社会的影響
孤立、いじめ、非行、暴力、学校や職場での問題行動。

 


 

虐待に気づいたら

虐待を受けている、または誰かが虐待を受けていることに気づいた場合は、以下のような行動をとってください。

 

⚫︎専門機関に相談
・子どもの場合:児童相談所に相談。通報。
・高齢者や障害者の場合:市区町村の福祉窓口に相談。通報。

⚫︎警察に連絡:
緊急性が高い場合110番に電話

⚫︎信頼できる人に相談:
一人で抱え込まず、周囲に助けを求める。

 

 

虐待は法律や制度で厳しく規制されており、被害者を保護する仕組みが存在します。一人で抱え込まず、助けを求めることが大切です。

 

 

 


 

↓ さらに詳しく「虐待をする原因」

 

虐待をする原因はさまざまな要因が絡み合っており、単一の理由では説明できません。しかし、虐待は加害者自身の内面的・外的要因や環境によって引き起こされることが多いです。

 

以下は、虐待をする主な原因とされる要因です。
いくつか挙げてみます。

 

1.個人的要因

・心理的ストレス
経済的困窮、仕事のプレッシャー、人間関係の問題などがストレスを引き起こし、それが虐待行為に繋がることがあります。

・精神的・感情的な未成熟
自分の感情を適切にコントロールできない、または怒りや不満を相手に向け発散しようとする傾向。

・トラウマや虐待の連鎖
加害者自身が過去に虐待を受けていた場合、その影響が自分の行動に現れることがあります(負の家族連鎖を断ち切る。インナーペアレントを書き換える心理療法が有効)

 

 

2.環境的要因

・孤立とサポートの欠如
社会的に孤立しており、相談できる人がいない場合、ストレスが虐待に向かうことがあります。

・文化や価値観
暴力をしつけの一環とみなす文化や家庭環境。(負の家族連鎖)
また、性差別や年齢差別が虐待を助長することもあります。

・経済的問題
貧困や失業などの状況下で、イライラや絶望感が暴力的な行動に結びつく場合があります。

 

 

 3.関係性の問題

・支配欲や権力の誤用
加害者が相手をコントロールしようとする欲求から、心理的・身体的虐待を行うことがあります。

・コミュニケーション不足
家庭や職場での意思疎通が不足しており、感情が暴力的な形で表れることがある。

 

 

4.社会的要因

・社会的プレッシャー
成績や仕事の結果に過度のプレッシャーがかかり、その重圧を他者に向けてしまう。

・支援制度の不備
虐待の早期発見や予防が十分でない社会では、被害がエスカレートしやすい。

 

 

虐待の予防に向けて

虐待の原因を深く理解することが、加害者や被害者の適切な問題解決につながっていきます。