愛着障害

愛着障害(あいちゃくしょうがい)とは


 

乳幼児期(0歳〜6歳)に、養育者(親など)との間で、安心で安定した心の結びつきが十分に築けなかったことが原因で、対人関係や感情調整に大きな困難が生じてしまうことをいいます

 

この、対人関係や感情調整に大きな困難が生じてしまうことをいいますとは、大人になってから対人(恋愛)関係が上手くいかず、人生そのものが、生きづらさへとつながっていく要因になってしまいます

 

 

主な原因

⚫︎ネグレクト(放置)
食事を与えない、不潔な環境、病気やケガでも病院に連れて行かない。また子供の性格、喜ぶこと、悩み事等に関心を示さないなど、養育される家庭環境が安心・安全ではなかった

⚫︎虐待
健全なしつけではなく、心身に害を与える行為をされ続けた。

⚫︎養育環境の度重なる変更(施設・里親の転々など)
安心・安全な環境で育てられず、養育環境がたらい回し状態だった。

⚫︎養育者(親など)が、精神的・心理的的に不安定
養育者(親など)の感情の波が激しく、安定しない状態で養育されてきた。

 

特徴

⚫︎対人関係を築くのが困難(コミュニケーション能力の欠如)
コミュニケーションのすれ違い。感情の共有が苦手。心でつながる感覚がわからない。人の顔色をうかがい、他人軸で考えてしまう。

⚫︎思考・感情のコントロールが苦手で、衝動性の傾向がある
思ったことをすぐ口に出す。些細なことで怒り出してしまう(キレやすい)。計画性がなく衝動買いをする。また順番が待てないなど。

⚫︎不安・怒りを感じやすい
不安、ストレスへの耐性が低く、些細なことでイライラしやすい傾向がある。

⚫︎自尊感情が低い
ありのままの自分ではダメだと感じてしまう。他人と自分を比較して落ち込んでしまう。失敗を恐れて挑戦できない。他人の評価を過剰に気にしすぎる。

 

よく似ている障害との違い

⚫︎発達障害(特に自閉スペクトラム症)と似ていることがありますが、原因や特徴が異なります。発達障害は神経発達の特性があり、愛着障害は養育環境の影響が大きいと考えられています。ただ、同じように見えるため注意が必要です。

 

サポートや支援

⚫︎安心で安全、そして安定した養育環境を確立する。

⚫︎カウンセリングや心理療法(プレイセラピー、家族療法など)を受ける。

⚫︎養育者(親など)へのサポート・ペアレントトレーニングを受ける。

⚫︎必要に応じ、医療や福祉機関の介入を受け入れる。

 

相談までの判断基準

⚫︎対人関係が極端におかしい場合

⚫︎情緒が安定せず日常生活に影響が出ている場合

⚫︎養育歴に大きなストレス要因がある場合


こうした場合は児童精神科、心療内科、心理相談機関などに相談が勧められます。

 

ご自身がどこか生きづらいさを感じる場合は、乳幼児期(0歳〜6歳)の養育環境が原因で、「愛着障害」の傾向があるのかもしれません。
 
 
 
 
 
 

 

さらに詳しく↓

 

乳幼児期(0歳〜6歳)は、とても大事な時期!

乳幼児期(0歳〜6歳)に、「安心できる人とのつながりが、うまく育たなかった場合、大人になってから、心や人間関係が不安定になりやすく、どこか生きづらさを感じてしまう人生になります。

また、赤ちゃんにとって、抱いてくれる人・守ってくれる人・気持ちに応えてくれる人は“心の土台”をつくるとても大切な存在です。ところが、ほとんど構ってもらえない。虐待される。養育者が何度も変わるなどがあると、「人は信じられない」「どうせ捨てられる」「安心して甘えていいのかわからない」という感覚に心が反応してしまいます。

その結果、人との関係がうまく作れない。感情が不安定になりやすい。そして、どこか生きづらさを感じてしまうということになります。

 

子どもの「愛着障害」でよく見られる特徴
※全部当てはまる必要はありません

⚫︎人に心を開けず、距離を取る
⚫︎逆に、誰にでもベタベタ近づきすぎる
⚫︎すぐキレる・大泣きするなど感情が不安定
⚫︎“どうせ分かってもらえない”という気持ちが強い
⚫︎信頼関係を築くのがとても難しい

医学的には、下記のように診断されることがあります。
⚫︎反応性愛着障害(心を閉ざすタイプ)
⚫︎
脱抑制型対人交流障害(境界なく近づくタイプ)

 

大人の愛着スタイルとは

大人の愛着スタイルは、障害(病気)ではありません。「人との距離の取り方・恋愛や対人関係でのクセ」のことを指します。
幼少期の経験の影響を受けやすいですが、ストレスや経験、学びによって 愛着スタイルは改善できます。

 

大人の愛着スタイルでよく見られる特徴

安定型(最も安定したタイプ)
⚫︎人を信頼できる
⚫︎親密さも自立もバランス良い

不安型(不安)
⚫︎「嫌われないかな?」と心配しやすい
⚫︎相手に依存しやすい

 回避型(近づきすぎが怖いタイプ)
⚫︎深い関係になるのが苦手
⚫︎心の距離を保とうとする

乱れ型(不安+回避が混ざることも)
⚫︎
近づきたいけど怖い
⚫︎関係が不安定になりやすい

 

子どもの「愛着障害」と、大人の「愛着スタイル」の違い

 

子どもの愛着障害

大人の愛着スタイル

性質

医学的な問題として扱われることがある

性格の傾向(安定型・不安型・回避型・乱れ型)

主な背景

養育の不足・虐待・著しい不安定さ

幼少期の経験+その後の人生経験

表れ方

行動や情緒の問題が強く出る

恋愛・親密関係・対人場面のクセ

改善するには

適切な支援(養育環境)が重要

経験や学びによって改善できる

 

最後まとめ

子どもでは「障害としての問題」が問題の中心になりますが、大人の愛着スタイルは「性格のクセ」「生き方のクセ」に出て、病気ではないと思われます。いずれも、安心できる支援・環境・サポート・自身の学びで、改善へと向かっていけます。