被害者ポジション

被害者ポジション(ひがいしゃポジション)とは


 

心理学の分野で使われる用語で、特定の状況において自分を「被害者」として位置付ける態度や行動パターンのことをいいます。

 

この特定の状況において自分を「被害者」として位置付ける態度や行動パターンというのは被害者のポジションを取ることによって、

責任を他者や環境のせいにして、自分は悪くないと正しさを主張し、被害者の立ち位置に依存して、歪んだ利益やメリットの恩恵を受けようとする状態のことをいいます。

 

 

特徴

⚫︎責任の回避
自分の行動や選択の結果について責任を負わず、周囲の状況や他人のせいにする

⚫︎被害者の立ち位置
「自分は被害者だ」という感覚を強調し、同情や支援を求める態度をする。

⚫︎問題解決の回避
被害者ポジションを取ることで、問題に向き合ったり解決したりする努力から逃げる。

⚫︎対人関係を操作(コントロール)
被害者として振る舞うことで、他者からの助けや特別な配慮を引き出そうとコントロールをする。

 

 

メリットやデメリット

メリット(短期的)

⚫︎他人から同情や支援を得やすい。

⚫︎自分の責任を回避できる。

 

デメリット(長期的)

⚫︎自分の心の成長がない。問題解決能力が育たない。

⚫︎周囲との関係が悪化する。人としての信頼や信用を失う。

⚫︎結果として、自らが置かれる状況がさらに悪化する。

 

 

背景や要因
被害者ポジションを取る背景には、以下のような要因が考えられます。

⚫︎自己肯定感の低さ
自分に自信が持てず、「自分は不幸で弱い存在だ」と考える傾向。

⚫︎過去のトラウマ
実際に被害を受けた経験があり、その影響から抜け出せていない。またその被害を受けた経験から、歪んだ利益やメリットの恩恵を受け、味を覚えた。

⚫︎家庭環境
親や周囲の人が似た行動をしていた影響から、真似るようになった。

 

 

対処法
被害者ポジションに陥りやすい人や、その影響を受けている場合の対処法として、以下のアプローチが有効です。

⚫︎自己責任から逃げずに認識する
自分の行動や感情と向き合う。責任を持つという恐怖を受け入れる。

⚫︎問題解決志向を持つ
被害者としての感情にとどまらず、解決策に目を向ける。

⚫︎カウンセリングや心理療法
過去のトラウマや根本的な原因を探り、乗り越えるためのサポートを受ける。

⚫︎他者の視点を理解する
自分が周りからどのように見られているか、第三者的な視点で、客観的に自分を見つめる。

 

 

被害者ポジションの最大の問題は、責任感の欠如覚悟を持つという勇気の欠如です。

ご自身が「被害者ポジション」をしていると理解することが、まず第一歩になります。そして、もう「被害者ポジションは辞めると決める」ことです。

 

 


 

さらに詳しい原因や背景↓


被害者ポジションになる原因は、多岐にわたりますが、主に心理的、環境的、社会的な要因が絡み合っています。以下に代表的な原因を詳しく説明します

 

【心理的要因】
被害者ポジションに陥りやすい人の内面には、以下のような心の状態があります。

 ⚫︎自己肯定感の低さ
自分に価値があると感じられず、「弱い自分」や「無力な自分」を認識し、周囲にその弱い自分を表現して安心感を得ようとする。他人の同情やサポートを得ることで、自分の存在意義を感じることがある

⚫︎責任回避の傾向
「自分の失敗や課題に向き合うのは怖い」という感情から、責任を外部に転嫁してしまう。責任を取ることで生じるストレスや不安を避けるために被害者ポジションに居座る。

⚫︎認知の歪み(被害妄想)
他人の行動や状況を「自分を傷つけようとしている」と歪んで解釈してしまう。過去の経験やトラウマから、周囲が敵だと感じやすい傾向がある。

 

 

 環境的要因】
成育環境や家庭環境、社会的な影響も重要な原因となります

⚫︎幼少期の家庭環境
過保護な親の場合、過剰に子供に介入してしまうため、子ども自身が問題解決をする機会を奪ってきている。そのため問題から逃げる「逃げグセ」が習慣になっている。

また厳しすぎる家庭環境の場合、失敗や間違いが過度に批判されてきたことで、子供は「被害者として振る舞った方が安全で楽だ!」と歪んだ学習をしてしまう。

そして、親自身が被害者ポジションの傾向があると、親が被害者意識を強調する態度を見せることで、子どもがそれを真似る

⚫︎トラウマや過去の経験
いじめや虐待を受けた経験がある場合、「自分は被害を受けた」という意識が強化されやすい。その結果、心の傷として残ることがある。

そして歪んだ被害者意識を持ってしまうと、被害者ポジションという損得勘定での立ち位置に味を覚えてしまう。

⚫︎社会的影響
社会や文化が「被害者を支援する」ことを重視しすぎると、意図的に被害者ポジションを取る人が現れる。過剰に甘やかしたり、サポートしすぎたりすると、支援を受ける側(被害者)は、利益やメリットという形で、意図的に被害者でいることに依存することがある。

 

 

【性格的要因】
被害者ポジションに陥りやすい性格も背景にあります。

⚫︎自己中心的な思考
自分の感情や不満を優先し、他人の視点で物事を考えられない。周りの事情も考慮しない傾向がある。自分の利益を優先するために、周囲をコントロールして、被害者の立場を利用する。

⚫︎外的要因への過敏性
小さなトラブルや批判を過剰に受け止め、自己防衛のために「被害者」の立場を最大限利用して、自身が得をするように相手や周りをコントロールしたり、振る舞ったりする。

 

 

【社会的・文化的要因】
現代の社会や文化が被害者ポジションを生みやすい環境でもあります。

⚫︎被害者支援の強調
被害者の権利や保護が社会的に認知され、声を上げることが重要視される一方で、これを意図的に悪用する人も存在する。

⚫︎競争やプレッシャーの強い環境
職場や学校などでのプレッシャーに対抗するために、あえて被害者の立場を取ることで、責任や圧力から逃げる戦略を取る。

⚫︎社会的孤立
支援や共感を得るために、意識的または無意識的に被害者ポジションを取ることがある。